PCRプライマーのTm値の計算機を作ってみよう②~Tm値の計算法~

Python基礎
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それではいよいよTm値を計算していきましょう。

計算方法を知りたいのではなく、
手っ取り早く今、Tm値を計算したいんだよ!!という方はこちら

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● PCRプライマーのTm値の計算機を作ってみよう -0-

● PCRプライマーのTm値の計算機を作ってみよう① 〜相補鎖配列とGC含量の計算〜

まずはTm値の計算法について説明します。

Tm値の計算法は一つではなく、様々な計算式が考案されています。
どれが正しいとかではなく、目的に合わせて使い分けると良いかと思います。
今回は、単純なWallace 法と最も信頼性が高いといわれる最近接塩基対法
実装したいと思います。

Wallace法

Wallace法はとっても単純です。
プライマーの配列中のAとTの数の総和に2を掛けたものと
GとCの数の総和に4を掛けたものを足すだけです。

Wallace法の計算式

Tm = 2 x (AとTの数の総和) + 4 x (GとCの数の総和)

最近接塩基対法

Wallace法はとても簡単なので、全部Wallace法で計算できると良いのですが、
プライマーが長くなると誤差が出てきて使い物になりません。
そこで18塩基以上のプライマーでは、実測値に最も近いといわれる
最近接塩基対法を用いたいと思います。

最近接塩基対法はそんなに複雑なものではないのですが、
あまり詳しい解説記事を見かけないので、参考になれば幸いです。

最近接塩基対法の計算式

Tm = (1000 x ΔH) /( -10.8 + ΔS + 1.987 x ln(Conc/4)) – 273.15 + 16.6log[Na+]

ΔH:実験的に求めた最近接エンタルピーの合計(後述) ΔS:実験的に求めた最近接エントロピーの合計(後述) Conc:プライマーの濃度(M) (標準は0.5 μM) Na+:ナトリウム濃度(M) (標準は50 mM)

簡単に説明すると
プライマーの隣り合う塩基同士のすべての組み合わせに対して、エンタルピーおよびエントロピーが定められており、
その総和が式中のΔHやΔSとなります。

最近接塩基対法のパラメーター一覧

具体的な最近接塩基対法の計算法に入る前に、
エンタルピーやエントロピーの計算に使うパラメーターを示します。

Interaction (5’→3’/3’←5′)ΔH [kcal/mol]ΔS [cal/mol・K]
AA/TT-9.1-24.0
AT/TA-8.6-23.9
TA/AT-6.0-16.9
CA/GT-5.8-12.9
GT/CA-6.5-17.3
CT/GA-7.8-20.8
GA/CT-5.6-13.5
CG/GC-11.9-27.8
GC/CG-11.1-26.7
GG/CC-11.0-26.6

最近接塩基対法の実際の計算方法

では、上の表を参照に計算していきましょう。
隣り合う2塩基の組み合わせに対してすべてを上の表と参照していきます。
今回は、ATGACCGTA という配列を例に取ります。
隣り合う組み合わせは、
AT、TG、GA、AC、CC、CG、GT、TA の8つですね。

ΔHの総和 = AT(-8.6) + TG(-5.8) + AC(-6.5) + CC(-11.0) + CG(-11.9) + GT(-6.5) + TA(-6.0)
= 56.3

ΔSの総和 = AT(-23.9) + TG(-12.9) + AC(-17.3) + CC(-26.6) + CG(-27.8) + GT(-17 .3) + TA(-16.9)
= 142.7

これを最近接塩基対法の計算式に当てはめると、

Tm = 26℃となります。

最近接塩基対法の計算方法がわかったので、
次回から実際に実装していきたいと思います。

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